野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、あつしは百まで生きるときめましたよ」

八五郎はまた、途方もない話を持ち込んで來るのです。江戸はもう眞夏、祭太鼓の遠音が聞えて、心太にも浴衣にも馴染んだ、六月の初めのある朝のことでした。

「きめなくつたつて、お前の人相なら、百二三十迄は生きるよ、――何んだつてまた、そんな慾張つたことを考へたんだ」

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