野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「いやもう、驚いたの驚かねえの」

八五郎がやつて來たのは、彼岸過ぎのある日の夕方、相變らず明神下の路地一パイに張り上げて、走りのニユースを響かせるのでした。

「何を騷ぐんだ、ドブ板の蔭から、でつかい蚯蚓でも這ひ出したといふのか」

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