野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「羨ましい野郎があるもんですね、親分」

夏の夜の縁先、危い縁臺を持ち出して、蚊を叩き乍ら、八五郎は斯んなことを言ふのです。

「お前でも人を羨ましがることがあるのか、淺ましくなりやがつたな」

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