野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、折入つてお願ひがあるんですが」

ガラツ八の八五郎は、柄にもなく膝小僧を揃へて、斯う肩を下げ乍ら、小笠原流の貧乏搖ぎをやつて見せるのでした。

「心得てゐるよ、言ひわけに及ぶものか、その代りたんとは無えが」

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