野村 胡堂
銭形平次捕物控
一
「へツ、へツ、親分え」
ガラツ八の八五郎は、髷節で格子戸をあけて、――嘘をつきやがれ、髷節ぢや格子は開かねえ、俺のところは家賃がうんと溜つて居るから、表の格子だつて、建て付けが惡いんだからと――、錢形の平次は言やしません。
兎も角、恐れ入つた樣子で、明神下の平次の家へ、八五郎はやつて來たのです。
野村 胡堂
一
「へツ、へツ、親分え」
ガラツ八の八五郎は、髷節で格子戸をあけて、――嘘をつきやがれ、髷節ぢや格子は開かねえ、俺のところは家賃がうんと溜つて居るから、表の格子だつて、建て付けが惡いんだからと――、錢形の平次は言やしません。
兎も角、恐れ入つた樣子で、明神下の平次の家へ、八五郎はやつて來たのです。