野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、手紙が參りました」

「どれ/\、これは良い手だ。が、餘程急いだと見える」

錢形平次は封を切つて讀み下しました。初冬の夕陽が這ひ寄る縁側、今までガラツ八の八五郎を相手に、將棋の詰手を考へて居る――と言つた、泰平無事な日だつたのです。

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