野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

小石川水道端に、質屋渡世で二萬兩の大身代を築き上げた田代屋又左衞門、年は取つて居るが、昔は二本差だつたさうで恐ろしいきかん氣。

「やい/\こんな湯へ入られると思ふか。風邪を引くぢやないか、馬鹿々々しい」

風呂場から町内中響き渡るやうに怒鳴つて居ります。

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