野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、梅はお嫌ひかな」

「へえ?」

錢形平次も驚きました。相手は町内でも人に立てられる三好屋の隱居、十徳まがひの被布かなんか着て、雜俳に凝つて居ようといふ仁體ですが、話が不意だつたので、平次はツイ梅干を聯想せずには居られなかつたのです。

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