野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、飯田町の上總屋が死んださうですね」

ガラツ八の八五郎は、またニユースを一つ嗅ぎ出して來ました。江戸の町々がすつかり青葉に綴られて、時鳥と初鰹が江戸ツ子の詩情と味覺をそゝる頃のことです。

「上總屋が死んだところで俺の知つたことぢやないよ」

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