野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、良いお天氣ですね――これで金さへありや――」

薫風に懷ろを膨らませて、八五郎はフラリと入つて來ました。相變らず寢起の良ささうなのんびりした顏です。

「お早う、天氣が續くと、懷ろの方も空つ尻らしいな」

青空文庫の作品カード