野村 胡堂
銭形平次捕物控
一
「へツ、へツ、可笑しなことがありますよ、親分」
「何が可笑しいんだ。いきなり人の面を見て、馬鹿笑ひなんかしやがつて、顏へ墨でもついてゐると言ふのかい」
錢形平次は、ツルリと顏を撫でました。三十を越したばかり、まだなか/\良い男振りです。
野村 胡堂
一
「へツ、へツ、可笑しなことがありますよ、親分」
「何が可笑しいんだ。いきなり人の面を見て、馬鹿笑ひなんかしやがつて、顏へ墨でもついてゐると言ふのかい」
錢形平次は、ツルリと顏を撫でました。三十を越したばかり、まだなか/\良い男振りです。