野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分の前だが、此頃のやうに暇ぢややりきれないね、ア、ア、ア、ア」

ガラツ八の八五郎は思はず大きな欠伸をしましたが、親分の平次が睨んでゐるのを見ると、あわてて欠伸の尻尾に節をつけたものです。

「馬鹿野郎、欠伸に節をつけたつて、三味線には乘らないよ」

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