野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、面白い話があるんだが――」

八五郎のガラツ八が、長んがい顎を撫でながら入つて來たのは、正月の十二日。屠蘇機嫌から醒めて、商人も御用聞も、仕事に對する熱心を取り戻した頃でした。

「暫らく顏を見せなかつたぢやないか。どこを漁つて歩いてたんだ」

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