野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、折角こゝまで來たんだから、ちよいと門前町裏を覗いて見ませうか」

錢形平次と子分の八五郎は、深川の八幡樣へお詣りした歸り、フト出來心で結改場(揚弓場)を覗いたのが、この難事件に足を踏込む發端でした。

「何んだ、こゝまで俺を引張つて來たのは、信心氣かと思つたら、そんな企みだつたのかい」

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