野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、死んだ人間が手紙を書くものでせうか」

あわて者のガラツ八は、今日もまた變梃なネタを嗅ぎ出して來た樣子です。

町庇の影が漸く深くなつて、江戸の秋色も一段とこまやかな菊月のある日、

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