野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

順風耳の八五郎は、相變らず毎日一つくらゐづつは、江戸中から新聞種を掻き集めて來るのでした。

その中には隨分愚にもつかぬものがあり、十中八九は聞流しにしてしまひますが、中には無精者の錢形平次を驅り立てて、恐ろしい事件の渦中に飛び込ませることも少くはなかつたのです。

「聽いたでせうね、親分。あの話を」

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