野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、お願ひ、一つ出かけて下さい。このまゝぢや、あつしの男が立たねえことになります」

相變らず調子外れな八五郎でした。飛び込んで來るといきなり、錢形平次の手でも取つて引立てさうにするのです。

「何を面喰つてゐるんだ。俺を拜んだところで、お前の男が立つわけぢやあるめえ、――まア落着いて話せ。金で濟むことか、腕を貸せといふのか、それとも」

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