野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、凄いのが來ましたぜ。へツ」

「何が來たんだ。大家か借金取か、それともモモンガアか」

庭木戸を彈き飛ばすやうに飛び込んで來たガラツ八の八五郎は、相變らず縁側にとぐろを卷いて、寛々と朝の日向を樂しんでゐる錢形平次の前に突つ立つたのです。

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