野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、お早うございます」

「あれ、大層行儀がよくなつたぢやないか、八」

錢形平次は膽をつぶしました。彌造も拔かずに、敷居際に突つ立つて『お早う』などと顎をしやくる八五郎が、今日は何を考へたか、入口から斯う、世間並の挨拶をして入つて來たのです。

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