野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

早春のよく晴れた陽を浴びて、植木の世話をしてゐる平次の後ろから、

「親分、逢つてやつて下さいよ。枝からもぎ立ての桃のやうに、銀色のうぶ毛の生えた可愛らしい娘ですがね」

八五郎は拇指で、蝮を拵へて、肩越しに木戸を指すのです。

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