野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、日本橋の騷ぎを御存じですかえ」

「知らないよ。晒し物でもあつたのか、――相對死の片割れなんかを、ぼんやり眺めてゐるのは殺生だぜ」

平次は氣のない顏をして、自分の膝つ小僧を抱いたまゝ、縁側から初秋の淺黄色の朝空を眺めて居ります。

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