北大路 魯山人

筍の美味さは第一席

筍の缶詰ものは、一流日本料理の料理になる資格はないが、二流以下の料理用としては、年中、日本料理にも中国料理にも重宝されているくらいだから、美食原品として一等席へ坐してもよいものであろう。

彼の廿四孝の孟宗は、母のために雪の地下深く竹の芽、すなわち筍を掘って有名であるが、筍は降雪期の前、すでに地下深く萌芽しているから、別にふしぎなことではない。

京阪の一流料理屋が暮の中から、初春から、はしりものとして客の膳に出しているのが、すなわち、それである。その味は出盛り季節の美味ではないが、これはこれで一種捨てがたい風味があって、充分珍重に価する。

しかし、筍も産地による持ち味の等差というものの甚だしいのに驚く。もとより京阪は本場である。関東のそれは場違いとしたい。目黒の筍など名ばかりで、なんの旨味もない。京都では、洛西の樫原が古来第一となっている。その付近に今ひとつ、向日町という上産地がある。洛東の南、伏見稲荷の孟宗藪も近来とみに上物ができて、樫原に劣らぬと自慢している。

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