柳 宗悦

工芸の道

新版の序

この一冊は、私がかつて工藝の性質について書いた最初のまとまった論文である。もう二十七年も前に書いたものであるから、今からすれば訂正すべき個所もないではないが、しかし本質的な点では、今も正しい見方であると信じる。新版を出すに当って、多少の改訂を加え、また挿絵は全部取りかえ、東西新古の作品から選んだ。

この本は、当時工藝に関して、未だ見るべき著作が他になかったためもあるが、私の生涯にも深い因縁を結ぶものとなり、この本を通して多くの友達を得、かつまた今日「民藝運動」と呼ばれるものの理論的基礎となるに至ったのである。それ故、私の三十代の著書ではあるが、はなはだ思い出の深いものがあり、多くの読者からの要望もあって、この選集の第一巻に配したのである。

巻頭にある第一章、すなわち「工藝の美」と題したものは、昭和十七年に別冊の私版本として印刷され、またこの章と、第四章の一部とを合せ、かつて『民と美』の巻頭に入れたことがある。この選集を編むに際し、すべてを再び原位置に戻した。

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