小川 未明
真昼のお化け
上
光一は、かぶとむしを捕ろうと思って、長いさおを持って、神社の境内にある、かしわの木の下へいってみました。けれど、もうだれか捕ってしまったのか、それとも、どこへか飛んでいっていないのか、ただ大きなすずめばちだけが二、三びき前後を警戒しながら、幹から流れ出る汁へ止まろうとしていました。しかたなく、鳥居のところまでもどってきて、ぼんやりとして立っていると、せみの声がうるさいほど、雨の降るように頭の上からきこえてくるのでした。そのとき、勇ちゃんが、あちらから駆けてきました。
「なにをしているのだい?」
「なんにもしていない。」