小川 未明

眼鏡

一

かず子さんが、見せてくれた紅い貝は、なんという美しい色をしていたでしょう。また、紫ばんだ青い貝も、海の色が、そのまま染まったような、めったに見たことのないものでありました。

「ねえやが、お嫁にいくので、お家へ帰ったのよ。そして、私に送ってくれたのよ。図画の先生が、ほしいとおっしゃったから、私いくつもあげたわ。」と、かず子さんが、いいました。正吉は自分もほしいと思ったけれど、おくれと口に出してはいいませんでした。かえって、反対に、

「なあんだい、もっと、もっと、きれいなものをかず子ちゃんは、知っていないだろう?」と、いったのです。かず子さんは、ぼんやりと、正吉の顔をながめて、

青空文庫の作品カード