北大路 魯山人
高橋箒庵氏の書道観
私はかつて『星岡』誌上に高橋箒庵氏の千慮の一失ともいうべき、音羽護国寺境内における名燈籠写し物に属する碑文を見て、その撰もその書も実は高橋義雄氏のものに非ざるを不可として、どうしてそんな偽り事をやられるものかを高橋氏に質すところあった。ところが高橋氏はこれを一大過誤とし、直ちに碑文を自書自撰の上、改造すると誓われた。
私は当時、その速かなる箒庵氏の改悟を見て、意外にも美しき態度とした。そうして数カ月を経た今日、左記の一書を私に寄せられた。
秋冷相催候処ますます御清祥奉賀上候。さて先般御注意被下候護国寺境内石燈燈碑文此の程やうやく改彫を終り候間御序の節御高覧奉希上候。先は右御報まで如此に御座候頓首
九月十八日