北大路 魯山人

乾山の陶器

一口に乾山と言えば、乾山の陶器を想い出すのが世間の通例である。乾山について絵画の天才を想起する者は、大部分玄人筋であると言える。能書乾山を識り、乾山の能書を叫ぶものは通の通である。

乾山が光琳の弟であることは、乾山の優れた資質を知らぬ者に、なにかしらん安心を与えている。

確かに光琳の方が乾山より有名である。のみならず、光琳は芸術的価値から言っても、固より乾山に優れていること、論ずるまでもないように考えられている。要するに、乾山の存在は光琳に比して、甚だ淋しい。

食器に絵を描くことに興味を持った乾山は、掛物の絵を描く光琳と比べて最初から割の悪い立場だった。しかし、今日では乾山もいつとなしに識者間には、しかと認められて、芸術上決して兄の光琳に劣るものとされていないが、それでも、一般からは光琳の方が、お馴染が深くて偉いと考えられている。

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