北大路 魯山人

料理と器物

中国料理の食器を使っている日本料理

日本料理に使っている上手物の陶器の食器は、多く中国で出来たものである。殊にわが懐石料理に尊重する器具の例を挙げるならば、染付の各種、青磁万体、呉須赤絵、金襴手類などは、残らず中国の食器として生まれたものである。それを三、四百年以来、日本料理に適当として調和させている手腕は、慥かに一見識というべきである。以て当時の人々の鑑賞力のほどもわかって来るというもので、所謂古渡り物は、今日なお食器の最高権威として取扱われている次第である。

ところが本場の中国では、古い優良な佳器は殆ど地を払って皆無というありさまである。このように本場の空虚になった原因は、日本人に上手物を選抜されたことと、その後は欧米人にも選り取られた結果である。しかし、外国には現下所有者の図録などに徴して、日本人の良しとする素晴らしいものは、あまり輸出されていないらしい。大体に於て日本人が掘り出したあとの選り屑といった形であるらしい。

かように本場の中国では、よいものは出尽しているのに反し、日本では中国の優れた品を今も使っていて、しかも、その使途が動きのとれぬところまで発達しているのは、吾ながら感服の至りである。

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