北大路 魯山人

古染付の絵付及び模様

明の古染付に対する大体の観察は上巻に於てこれを述べた。ここでは特にその絵付及び模様に就てすこしばかり考へて見度いと志した。

言ふ迄もなく明の古染付なるものは、その時代の文化を最も能く具体的に反映させてゐるものであつて、そこにこれが発生の必然性も共に十分認められるのである。

殊にこれは元時代の興隆期を承けて、この明時代につながる南画の命脈的発展と照合させる事によつて何よりもそれがはつきりすると思はれる。

南画と古染付とはその根本の性情に於て一致するものがある。即ち他の写実画、他の純模様的陶磁に比べて、より写実的に、意志の力が働きかけてゐる、又より主智的に智慧の力が作用してゐる。唐宋の時代に見られた芸術的に豊富な抒情的要素といふ様なものが、この明の時代になるとグツと意識的に転向されて来て、すべてが力争的な状態に置かれて、作品そのものを刺戟しやうとした。

青空文庫の作品カード