北大路 魯山人

掘出しは病気の元

古美術界では、とかく掘出しが流行する。なんとか安く買って高く売りつけ、あわよくば千金、万金を一挙にせしめようという悪い傾向がある。

掘出しというそのことに熱中してはいけない。ものそのものの芸術味に興味をもつことはよいが、利欲のための掘出しは既に不純なものがあって、身心の上にも害毒を流すものである。これを名付けて俗欲という。俗欲に耽ることは大いに警戒すべきである。

この掘出し主義は、遂に人の持っているもの、愛玩しているものでも欲しくなり、これをなんとかして取り出すことに興味をもつようになる。そこには色々な無理も生じてくるのである。

それよりも、世間並の相場で、堂々と物を買うという方が、どれだけよいか知れない。これは確かに身心のためにもよい。健康を欲する人は、この態度を失してはいけないと思う。

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