山之口 貘

ダルマ船日記

眼を覚ましてみると、側に寝ていた筈の六さんの姿は見えなかった。

居候のくせに、なぜこうも寝坊するのであろうか。

桝のような船室から首を出して、甲板を見廻わすと、既に、七輪の薬罐が湯気を吹きあげていた。

この船の名は、水神丸。積載量百トン。型は、通称ダルマと言っている。年齢は、三十五歳。生れは深川。

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