徳田 秋声
女流作家
昨夜[#「昨夜」は底本では「咋夜」]同伴が二人できて、栄子は或る日本ものゝ映画の試写を見に行きに、小森をも誘つた。その招待券の小森へも来たのは、つひ二三日前のことで、彼は栄子が工合のわるい体を悲観してゐるので、仕事が一つ片づいたところで、何うせ詰らないとは知りながら、舞踊好きな彼女を観劇に誘つて、それだけでも見ようとおもつて家を出たのであつたが、その間ぎわに其招待券を手にしたのであつた。
悦んで仕度をして栄子は下宿へ帰つて行つた。そして二人一緒に出たのであつた。
「活動の招待券が来てゐた。」小森は途中その話をした。
「どこ?」