ボードレール シャルル・ピエール

道化とヸナス

何といふすばらしい日だ! 広大な公園は、愛神の支配の下にある若者のやうに、太陽のぎら/\した眼の下に悶絶してゐる。

なべての物にあまねき此の有頂天を示す物音とてはない。河の水さへ眠つたやうである。ここには人の世の祭とは遙かに事かはつた、静寂の大饗宴があるのだ。

不断に増しつゝある光はます/\物象を輝かせてゐるやうだ。上気した花は、其の色の勢力を、空の瑠璃色と競はうとする欲望に燃えてゐる。そして熱は、香を目に見えるものにして、烟のやうに、かの天体の方へと立ち昇らせてゐる。

とはいへ、私はこの万有の快楽の中に、一つの悲しんでゐる存在のあるのを知つてゐる。

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