野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「御免」

少し職業的に落着き拂つた聲、錢形平次はそれを聞くと、脱いでゐた肌を入れて、八五郎のガラツ八に目くばせしました。生憎今日は取次に出てくれる、女房のお靜がゐなかつたのです。

「へツ、あの聲は臍から出る聲だね」

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