野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「わツ驚いたの驚かねえの」

ガラツ八といふ安値な異名で通る八五郎は、五月の朝の陽を一パイに浴びた格子の中へ、張板を蹴飛ばして、一陣の疾風のやうに飛び込むのでした。

「此方が番毎驚くぜ。何んだつて人の家へ來るのに、鳴物入りで騷がなきやならないんだ」

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