野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

八五郎の顏の廣さ、足まめに江戸中を驅け廻つて、いたるところから、珍奇なニーユスを[#「ニーユスを」はママ]仕入れて來るのでした。

江戸の新聞は落首と惡刷りであつたやうに、江戸の諜報機關は、斯う言つた早耳と井戸端會議と、そして年中何處かで開かれてゐる、寄合ひ事であつたのです。

「お早やうございます。良い陽氣になりましたね、親分」

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