江見 水蔭
探検実記 地中の秘密
――雪ヶ谷の道路――金槌で往來を擲く――嶺千鳥窪發掘歴史――土瓶の續出――露西亞式の發掘――棄權の跡――土瓶の仇討――都々逸の功徳――異臭紛々――内部に把手の有る破片――
嶺の發掘を語る前に、如何しても故飯田東皐君との關係を語らねばならぬ。
三十六年の夏、水谷氏が内の望蜀生と共に採集に出かけて、雪ヶ谷の圓長寺の裏の往還を掘つて居た。道路が遺跡に當るので、それをコツ/\掘りかへして居たのだ。
其所へ來合せた一紳士が、貴君方は何をするんですかと咎めたので、水谷氏は得意の考古學研究を振舞はした。其紳士連りに傾聽して居たが、それでは私も仲間に入れて貰ひたい。兎も角手前の宅へ來て下さいといふので、二人はのこ/\附いて行つた。