中原 中也

トリスタン・コルビエールを紹介す

トリスタン・コルビエールが、甞て我が国に於いて紹介されたことがあつたかどうか、私は知らない。コルビエールは、ヴ※[#小書き片仮名ヱ、125-3]ルレーヌの有名な批評集、『生得の詩人達(Po※(グレーブアクセント付きE小文字)tes maudits)』(五人の詩人が挙げられてゐる)にも出てゐて、仏蘭西では知れ渡つた詩人である。その『生得の詩人達』中の、コルビエールの篇は、四五年前、雑誌『社会及国家』に、私が訳載したのだが、文壇とは余り縁のない雑誌ゆゑ、大方は御存知ないことと思ふ。

トリスタン・コルビエールは、千八百四十五年、七月十九日、午前八時、モルレーに於て汽船会社の社長の息子として生れ、千八百七十五年、三月一日午後十時同所で死んでゐるから三十年に足らぬ生涯であつた。

コルビエールの全集が出てゐるかゐないか、私はまだ見たことがない。散文も少々あるやうだが、詩集アムール・ジョーヌは彼の主著である。

以下該詩集に関するルネ・マルチノオ氏の論文の概要を記さうと思ふ。

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