佐々木 邦
首切り問答
仇討ちの決心
この事件に関する野口君と僕の交渉は僕が九州で某県庁の属官を勤めていた頃から始まる。野口君は裏日本の某中学校教諭を拝命して、三年ばかりたっていた。二人は高等学校時代からの同窓で極く親しかった。それだから野口君が九州まで訪ねて来ても然う驚く筈はないのだが、突然だったし、教員の自由の利く休暇季節でなかったから、僕は野口君の顔を見た時、悪い予感に襲われた。
「何うしたんだい? 今頃」
「東京へ帰る途中だ」
佐々木 邦
仇討ちの決心
この事件に関する野口君と僕の交渉は僕が九州で某県庁の属官を勤めていた頃から始まる。野口君は裏日本の某中学校教諭を拝命して、三年ばかりたっていた。二人は高等学校時代からの同窓で極く親しかった。それだから野口君が九州まで訪ねて来ても然う驚く筈はないのだが、突然だったし、教員の自由の利く休暇季節でなかったから、僕は野口君の顔を見た時、悪い予感に襲われた。
「何うしたんだい? 今頃」
「東京へ帰る途中だ」