佐々木 邦
ロマンスと縁談
大海に釣らん
会社に勤めること三年余、僕も少し世の中が分って来たような心持がする。公私、いろ/\と教えられるところがあった。
公に於ては、上のものに認められなければ駄目だと悟った。出世の階段を自分の足で一段々々上って行くのだと思うと違う。自分の足もあるけれど、上のものが認めて引っ張り上げてくれるのである。それだから空々寂々では一生下積みを免れない。誠心誠意に努力するものが認められる。
私に於ても誠実が物を言う。僕は同僚との折合が好い。喧嘩をして却って別懇になったのもある。一杯飲んで胸襟を開くと皆うい奴だ。渡る世間に鬼はないという諺は豪い。