橋本 多佳子

麦刈

久々に来た東京の友を案内して、奈良の新薬師寺から白毫寺村の方へ歩いた。この辺りの麦刈はすこし遅れていま盛んに刈つてゐるところである。真青な苗代田があちらこちらに見える。

麦刈の女の一人がつと立ち上つて、天を仰ぐやうに身を伸した。

私の昔の句に

麦刈が立ちて遠山恋ひにけり

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