マン パウル・トーマス

なぐり合い

ジョニイ・ビショップがおれに、ヤッペとド・エスコバアルとがなぐり合いをするから、見物に行こうじゃないかといった時、おれは大いに心をうごかした。

それは、夏休にトラアヴェミュンデに行っていた時のことで、ある蒸暑い日だった。陸軟風が吹いて、海は干潮でずっと引いていた。おれたちは小一時間ばかり水につかったあと、梁や板を組み合わせた水浴小屋の下の堅い砂の上に、船持ちの息子ユルゲン・ブラットシュトレエムと一緒に、ねそべっていたのである。ジョニイとブラットシュトレエムは、丸裸であおむけになっていたが、おれはそれよりもタオルを腰にまきつけたほうが気持がよかった。ブラットシュトレエムはおれに、なぜそんなことをするのかと問うた。そしておれがうまい返事をしかねていると、ジョニイは持前の心をうばうようなかわいい微笑をもって、君はもう裸でねるには、すこし大人すぎるんだろうといった。実際おれはジョニイよりも、ブラットシュトレエムよりも、大きかったし、発達もしていた。それにすこしは年上でもあったろう。たしか十三だった。だからおれはジョニイの説明を黙って受け容れた。実をいうと、そこにはおれに対するある侮辱がこもっていたのだが。いったいジョニイと一緒にいて、彼よりも小さく上品で、からだつきが子供っぽくないと、誰でもすぐに、なんだかみっともなく見えてしまうのだった。彼はそういう性質を、実にゆたかに備えていたのである。そんな時彼は、きれいな、碧い、優しいけれど、ひやかし気味の微笑を含んだ、少女のような眼で、人の顔を見上げることがよくあった。――「君はもうずいぶんのっぽなんだねえ。」とでもいいたそうな表情を浮かべな

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