吉川 英治
死んだ千鳥
藪椿
裏藪の中に分け入って佇むと、まだ、チチッとしか啼けない鶯の子が、自分の袂の中からでも飛んだように、すぐ側から逃げて行く。
(おや、白い小猫?)
と、見れば、それは七日も前に降った春の雪が、思いがけなく、双つの掌に乗るほど、日蔭に残っているのだった。
吉川 英治
藪椿
裏藪の中に分け入って佇むと、まだ、チチッとしか啼けない鶯の子が、自分の袂の中からでも飛んだように、すぐ側から逃げて行く。
(おや、白い小猫?)
と、見れば、それは七日も前に降った春の雪が、思いがけなく、双つの掌に乗るほど、日蔭に残っているのだった。