吉川 英治

梅里先生行状記

恋すちょう……

一

二月の風は水洟をそそる。この地方はまだ春も浅い。ひろい畑は吹きさらしている。

昼まになっても、日かげの霜ばしらは、棘々とたったままだし、遠山のひだには、まだある雪が薙刀のように光っていた。

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