野村 胡堂

十字架観音

一

「あら松根様の若様」

「――――」

恐ろしい魅力のある声を浴せられて、黙って振り返ったのは、年の頃二十三四、色の浅黒い、少し沈鬱な感じですが、何となく深味のある男でした。

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