野村 胡堂
奇談クラブ〔戦後版〕
クラブ復活
「皆様、丁度十五年目でこの奇談クラブの会合を開きました。世の中も変りましたが御同様私共もすっかり年を取ってしまいました」
幹事の今八郎はそう言って見事に禿げた頭をツルリと撫で乍ら続けました。
「長い長い間、私共は自由に会合して面白い話を交わすことさえ遠慮しなければなりませんでしたが、今では最早そのような気兼も苦労もなく、存分に考え、存分に働き、そして存分に楽しみ、存分に話し合って差支の無い時代が参りました。会長の吉井夫人も久し振りで皆様に御目にかかって、精一杯面白い話でも承わり鬱積した悩みを忘れ度いと仰しゃるので、古い名簿を捜し出して、急に昔の奇談クラブの会員の方に集って頂いたわけで御座います」