吉川 英治

新・水滸伝

序曲、百八の星、人間界に宿命すること

頃は、今から九百年前。――中華の黄土大陸は大宋国といって、首都を河南省の開封東京にさだめ、宋朝歴代の王業は、四代の仁宗皇帝につがれていた。

その嘉祐三年の三月三日のことである。

天子は、紫宸殿に出御して、この日、公卿百官の朝賀を嘉せられた。そしてはや、楽府の仙楽と満庭の万歳のうちに式を終って、今しも袞龍錦衣のお人影が、侍座の玉簪や、侍従の花冠と共に珠の椅子をお立ちあらんと見えたときであった。

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