平野 零児

吉川さんの声と眼

「母が生きるに疲れはてて、燃え絶える最後まで、母からはただの一言でも、愛の伴わない言は聞かされたことはない」

吉川さんの著『四半自叙伝、忘れ残りの記』の中にこんな一章がある。

数多くの弟妹、古い友達に対して限りない愛情を持ち続けている吉川さんの心情には、このような母の血が一パイに溢れているといってもよかろう。

どんな場合にも微笑を失わない、そして柔和な眼が吉川さんの表情である。眼は心の窓という位だから、僕は接する度に、いつもこの眼から吉川さんの心をのぞくことができる。

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