野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、笑っちゃいけませんよ」

「嫌な野郎だな、俺の面を見てニヤニヤしながら、いきなり笑っちゃいけねえ――とはどういうわけだ」

銭形平次とガラッ八の八五郎は、しばらく御用の合間を、こう暢気な心持で、間抜けな掛合噺のような事を言っているのが、何よりの骨休めだったのです。

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