野村 胡堂
銭形平次捕物控
一
「親分、こいつは驚くぜ、――これで驚かなかった日にゃ、親分とは言わせねえ」
息せき切って駆けつけたガラッ八の八五郎、上がり框に両手を突いて、「物申し上ぐる型」に長い顔を振り仰ぐのでした。お行儀がよくなったせいではなく、息が切れて、しばらくは後が続かなかったせいでしょう。どもりが疳癪を起したように、一生懸命閾を引っ叩いております。
「何を騒ぐんだ、八」
野村 胡堂
一
「親分、こいつは驚くぜ、――これで驚かなかった日にゃ、親分とは言わせねえ」
息せき切って駆けつけたガラッ八の八五郎、上がり框に両手を突いて、「物申し上ぐる型」に長い顔を振り仰ぐのでした。お行儀がよくなったせいではなく、息が切れて、しばらくは後が続かなかったせいでしょう。どもりが疳癪を起したように、一生懸命閾を引っ叩いております。
「何を騒ぐんだ、八」